戦略の教科書

これまで私がアトミックをプレイした経験を元に、私を含めた多くの方々にとってプラスとなるよう、沢山の教材を作ってきた。 これは主にリチェスのスタディの集まりから出来ており、様々な異なるトピックが含まれている。 PGNで提供することを将来検討するかもしれないが、リチェスのスタディが進化し続けると思う(訳者注:「のでリチェスのスタディを見てもらうほうが良いだろう」という意味と思われる)。

エンドゲーム

アトミックで学ぶべきことの中でも、おそらくエンドゲームが最も重要なトピックだ。これは初心者であれ上級者であれ当てはまることだ。 基本テクニックは普通のチェス(訳注:以下単にチェスと呼ぶ)のエンドゲームと大きく異なる。 以下に示した最初の3つのスタディが、あらゆるアトミックのエンドゲームテクニックの中でたぶん実戦において最も重要だろう。

訳注:以下では、ピースをアルファベット1文字で略すことがある。 (K:キング, Q:クイーン, R:ルーク, B:ビショップ, N:ナイト, P:ポーン)

下に示した残りのスタディは、上の3つと同じぐらい最重要ということはないだろう。だがこれらのスタディを知ることで、局面を勝てるエンドゲームに持ち込む必須の武器を手に入れることになる。つまりどうやって勝てるエンドゲームに持ち込むか考える時に、間接的にミドルゲーム(中盤)の指し手が正確になる。

対局の解析

対局を解析することはチェスの実力を磨く上で優れた方法であり、この点はアトミックチェスも同じだ。それができないのであれば、注釈付きの対局から学ぶのが次善の策であろう。

2017年のアトミック世界選手権 (Atomic World Championship、以下AWC 2017と略) は2017年の11月から12月にかけてlichess.org上で行われた(主催はtipau氏)。私はAWC 2017の対局のうち200以上を解析してきた。ここでの解析とは、単にコンピューターエンジンの評価値を見ることではなく、人間がポジションをどう考えるかとかどんな特徴があるかといったことを人力でコメントしながら考えることである。もちろんタクティクスについても人力で考える。あなたが今どのレベルであったとしても、ここに示した対局から得るものが何かあるはずだ。

私はFICSのデータベースから派生ルールの棋譜をダウンロードし、2009年から2018年までに指されたアトミックの対局を抽出した (7z圧縮されたPGN, 11.7 MB)。このデータは、アトミックに興味を持っているプレイヤーが昔の棋譜を鑑賞できるようにするために用意した。

オープニング

オープニングの研究は、アトミックの中でもよく誤解されている部分の1つだ。主流になっているアトミックの理論は深く明瞭に研究されている。だがそれを詳しく知っていれば、アトミックで強さを発揮できるわけではない。私個人としては、オープニングのレパートリーは深さよりも幅広さを優先するように努めている。なので主流のオープニングと同じくらい、変わったオープニングについても解析を進めてきた(変わっているとはいえまだまだ戦えるオープニングであり、実戦では有効に機能する)

もし私が下記で使用したオープニング名に違和感を感じたり、最初にこれらのオープニングをプレイしたり解析したプレイヤーとの歴史的つながりが抜けているのを見つけたなら、それについても申し訳ないと思う。ここで使われているオープニング名は単に、私がこれらのラインを思い出すためだけに使っている。これらのオープニングに名前を冠すべきプレイヤーに思い当たったならば、ぜひ教えてほしい。

Last updated: 2019-06-05 01:25